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Kindle版 江藤淳全集 第12巻発売 ー編集子独言ー
2023.03.16

Kindle版「江藤淳全集」編集担当の風元正さんの「編集子独言」です。
第12巻『全文芸時評Ⅲ 昭和四十一年・昭和四十五年』はKindleにて発売中です!

 

《編集者独言――江藤淳文芸時評は「大河小説」である》

江藤淳全集第12巻「文芸時評Ⅲ 昭和四十一年 昭和四十五年」を公開しました。
江藤淳文芸時評は、「大河小説」です。個別の作品評を参照していた昔には、気づきませんでした。子供の頃押し入れの中で愛読していた谷崎潤一郎が「瘋癲老人日記」という晩年の大傑作を書き昂奮は最高潮。その後「大谷崎」は大往生を遂げ、万感込めた追悼文を記す。大江健三郎、石原慎太郎、開高健という同時代の俊秀と文壇で同時デビューして時代の尖端を併走し、全力で批評する。里見弴、井伏鱒二、永井龍男、円地文子などの老大家の作品の充実ぶりを舌なめずりして味わい、小林秀雄にしても岡潔ととんでもない対話をするから油断禁物。もちろん、脂ののり切った三島由紀夫や大岡昇平の動向も見逃せない。「第三の新人」は最重要な監視対象笑。
すぐれた文学者の秀作に真っ先を称賛し、ダメならこてんぱん。この巻は、新人賞を受賞した時から触れ続けてきた同世代の阿部昭が、「内向の世代」、いや戦後を代表する傑作「司令の休暇」を発表し、長所も欠点もすべて挙げつつ感涙するところで終わります。
毎月、血沸き肉踊る文学史を更新し続けた批評家は、世界でも江藤淳ただひとりです(というか、毎月何誌も文芸雑誌が出ている国はほかにないんですけど笑)。どこから読んでも面白いし、ぴたっとくる批評文を見つけたら、図書館へGO。ぜひ、当該作品を読んでみて下さい。日本文学の豊饒さを味わうことができます。
同時に、深まってゆく疲労と絶望については、また……。
ぜひ、ご一読下さい!

風元 正(編集)

 

《江藤淳は、未来の批評家だった。》

――たったひとり、「戦後」の虚構性に挑みつづけた批評家の思考は、今も生々しく同時代日本を照らし出している。
ラディカルな批判精神を貫いた稀有な精神の軌跡に新たな光を当てる画期的な電子版全集!

 

Kindle版 江藤淳全集
全巻1,200円(税込)
Amazon内Kindleショップにて発売中

 

第12巻『全文芸時評Ⅲ 昭和四十一年・昭和四十五年』
文壇でのキャリアを積み、時評家としても揺るぎない地位を築いた江藤淳。しかし、「戦後」への疑問もまた深まるばかりであった。「第三の新人」が大家になり、同世代の「内向の世代」が続々と代表作を発表し、文芸ジャーナリズムの「産業化」が完成する時期、「文学とは何か」を大前提を考え直す日々。「ごっこの時代」が終わるときは来るのか。

Amazon Kindleページ 第12巻

 

 

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